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2024年1月28日
原田英代ピアノ・リサイタル ~ラフマニノフと、彼が愛した作曲家たち~ のプログラムノートを掲載

2024年1月に武蔵野市民文化会館 小ホールと防府天満宮 参集殿で開催したピアノリサイタルのプログラムノート(原田英代自筆)を本サイトに掲載しました。

2023年10月2日から
MDR夏の音楽祭の公演がMDR(中部ドイツ放送)のインターネット・ラジオで放送中

[共演]
朗読:コリンナ・ハルフォーフ
朗読:ペーター・ローマイヤー
ピアノ:原田英代

ファニー・メンデルスゾーン=バルトルディほどエネルギッシュな女性はいたでしょうか?
後にヘンゼルと結婚したファニーは機知に富み、知的で、生まれつき音楽的才能に恵まれていました。ファニーが1847年に亡くなるまで弟フェリックスと30年にわたって交わした書簡は、並外れた音楽家としてのファニーを鮮明に表しています。これらの手紙には、たゆまぬ創作意欲、当時の文化生活への強い関心、深い兄弟愛が示されているだけでなく、当時の男女の役割への怒りも込められています。なぜなら、弟フェリックスは音楽家として昇進の一途を辿ったのに、ファニーは父親から「女性の唯一の職業は主婦」であることを要求され続けたからです。にもかかわらずファニー・ヘンゼルは才能あるピアニストとして活躍し、それに加えて460を超える作品の作曲家となりました。

原田英代はコリンナ・ハルフォーフとペーター・ローマイヤーと組み、観客を音楽の心、そして、ファニーの精神的な世界に誘う音楽的かつ文学的な一夜を誂えました。手紙や日記、そして、ツェルターやゲーテの作品も挟み、ハルフォーフとローマイヤーは、間違った時代に生きてしまった強い女性を描き出しました。弟フェリックスの2作品を含め、ファニーの厳選された作品で綴られた一夜は、時代に葛藤するファニー・ヘンゼルの並外れた才能を証明し、また、まだ発見されていない作品への期待も呼び起こしました。

番組の録音はMDRのサイトで、建物の画像の左下にある青いマーク(150 minの左側)をクリックしてください。

弘中孝、井口愛子に師事。東京藝術大学音楽学部、同大学院で松浦豊明氏に師事した後、渡欧。ロシア国立チャイコフスキー記念モスクワ音楽院の名教師ヴィークトル・メルジャーノフ教授の愛弟子として研鑚を積む。 1984年ジュネーヴ国際音楽コンクール・ピアノ部門最高位、1991年シューベルト国際ピアノコンクール(独)第1位、ウィーン現代音楽コンクール第2位。そして、1993年にはモスクワにおける第1回ラフマニノフ国際ピアノコンクールで旧西側参加者の中で唯一入賞を果たし、併せて2つの特別賞を受賞。 NHK響、読売日響、日本フィル、新日本フィル、東京シティフィル、九州響、広島響、スイス・ロマンド管、WDRケルン放響、南西ドイツ・フィル、ジョルジュ・エネスコ・フィル、トリノ放送響、プロヴディフ・フィル、チェコ・ナショナル響等、国内外の主要なオーケストラとの協演を重ね、これまでにマルチェロ・ヴィオッティ、クリスティアン・アルミンク、クリスティアン・マンデアール、ウラディーミル・ヴァーレック、ペトゥル・アルトリヒター、グジェゴージュ・ノヴァーク、尾高忠明、小泉和裕、黒岩英臣、三石精一、円光寺雅彦、本名徹二、天沼裕子、渡邉一正、西本智実、阪哲朗などの指揮者と共演。また室内楽では、ボロディン弦楽四重奏団、ザルツブルグ八重奏団、堀正文、ラティツァ・ホンダ=ローゼンベルク、ミハイル・シモニアン(ヴァイオリン)、イェンス=ペーター・マインツ(チェロ)、ローマン・トレーケル(バリトン)等と共演している。 アムステルダム・グランド・ピアノ音楽祭、アンティーブ“若いソリストのための国際音楽祭”、ルートヴィヒスブルグ城音楽祭、ベリー国際音楽祭、ウィーン・ベーゼンドルファー国際ピアノコンクール優勝者週間、横浜市招待国際ピアノ演奏会、ラフマニノフ国際音楽祭(ロシア)、ヤナーチェク国際音楽祭(チェコ)、コルフ音楽祭(ギリシャ)、木曽音楽祭等に出演。 ムジーク・フェライン/大ホール(ウィーン)、ヴィクトリア・ホール(ジュネーヴ)、モスクワ音楽院(大ホール、小ホール及びラフマニノフ・ホール)、スメタナ・ホール(プラハ)、リーダーハレ(シュトゥットガルト)、サントリー・ホール、NHKホール、東京オペラシティーなどでコンサートを行う。

1996年にはポリーニ、ブレンデルらが毎年のように招待される「リーダーハレ・ピアノ・チクルス」(独・シュトゥットガルト)における満席のリサイタルは大成功を収め、「夢に我を失う魔法の響きから色彩の豊かさ、うた、そして明るい透明さが原田の特色である。…多くの賞に輝く原田の音楽は、簡単に真似の出来るものではない。疾風怒濤の天才ともてはやされるピアノ弾きの頻出する中、極めて集中力の高いこの芸術家は彼らとは比べ物にならない魂の音を伝えてくれることを、我々は静かに認識するのみであった」(Stuttgarter Nachrichten紙)と絶賛を博した。 1998年、ジョルジュ・エネスコ響のドイツ公演にラドゥ・ルプーとダブルキャストで同行し、グリーグのピアノ協奏曲を演奏。「北欧の響きを苦もなく我が物としていた」との絶賛を得、現地の新聞は「この小柄で華奢な日本人ピアニストは本当に見事な“野獣の手”を持つのではないかと思わせた」と報じた。 2003年~2010年、東京にて全10回にわたる「原田英代 シューベルト・チクルス(連続演奏会)」を開催し、ピアノ、室内楽、歌曲に至る幅広いジャンルの作品を網羅したプログラムを展開する。 2009年9月、モスクワ音楽院ボリショイ・ザール(大ホール)において行われたヴィークトル・メルジャーノフ教授卒寿祝賀ピアノ音楽祭のファイナル・コンサートにおいてグリーグのピアノ協奏曲を演奏し、絶賛を博す。 2012年、明治神宮にて行われた明治天皇百年祭にて奉納演奏を行う。境内で西洋音楽が流れたのは初めてのことであった。

2007年よりドイツを代表する俳優との「朗読付きコンサート」を開始。その共演者には、女優のコリンナ・ハールフォーフ、カーチャ・リーマン、エスター・シュヴァインツ、クリスティーネ・ウールシュプルッフ、男優のウルリッヒ・ネーテン、ハンス・ツィッシュラー、クリスティアン・クヴァドフリーク等の名優たちの名が連なる。ドラマトゥルギ-の多様性を網羅した演目はいずれも大好評を博し、ラインガウ音楽祭、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭、ベートーヴェン音楽祭(ボン)、メックレンブルグ・フォアポンメルン音楽祭、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスにおけるメンデルスゾーン音楽祭、ルードヴィクスブルク音楽祭、モーツァルト音楽祭、オーバーストドルフ夏の音楽祭、ブラウンシュヴァイク音楽祭、ハイデルベルク春の音楽祭、北ヘッセン夏の音楽祭、中部ライン音楽祭、ブラウンシュヴァイク音楽祭、ウーゼドム音楽祭、シュトゥットガルト音楽祭、ポツダム・サンスーシー宮殿コンサートシリーズ等といったドイツ各地の主要な音楽祭より定期的に招待を受け、その公演模様は北ドイツ放送局、西ドイツ放送局、ドイツラジオ放送局、ヘッセン放送局によって放送されている。特にドイツ演劇界の最高峰と謳われる大女優コリンナ・ハールフォーフとの共演は「強力なデュオ」と讃えられ、2014年より「言葉と音楽のコラボ」と称した新たな形態のプログラムを展開している。

2003年に『原田英代 プレイズ ショパン&スクリャービン』をフォンテック・レーベルよりリリース。「ショパンからスクリャービンへと引き継がれて行く音楽史の内的な流れを、ここまで的確に表現してくれる演奏家は少ない。小柄な彼女のどこに、ここまでの力強さと説得力があるのだろう。必聴の一枚だ。」等と、各誌において絶賛を得た。 2007年、グリーグ没後100年を記念して、アウディーテ・レーベル(独)より『グリーグ/ 抒情小曲集』をリリース。ルクセンブルグの“PIZZICATO”誌において「スーパーソニック賞」に輝くほか、とりわけヨーロッパ、アメリカ、ロシアで高い評価を得る。2008年、『チャイコフスキー/「四季」&ラフマニノフ/「コレルリ変奏曲」』をリリースし、英・グラモフォン誌4月号のレビューにおいて「推薦盤」として取り上げられ、「ロシア・ピアノ音楽の傑作2作品を、精妙かつ情熱的な演奏でレコーディング」という絶賛の評に加え、「本当にイチ押し、太鼓判の1枚」と紹介された。2010年にはシューマン生誕200年を記念し、『シューマン・ピアノ作品集(幻想曲、クライスレリアーナ、アラベスク)』をリリース。“PIZZICATO”誌より再び「スーパーソニック賞」を受賞するほか、ドイツ最大の音楽誌“FONO FORUM”6月号において「今月の星」(特選盤)に輝き、フランス、イギリス、アメリカ等の世界各地で話題となる。また、日本国内においても『レコード芸術』11月号および讀賣新聞において、「特選盤」として紹介される。2011年9月、アウディーテからの第4弾作品『シューベルト/「さすらい人」幻想曲&ピアノ・ソナタ 変ロ長調 D960』をリリース。“FONO FORUM”誌11月号にて再び「今月の星」に輝くほか、“PIZZICATO”誌より三度目となる「スーパーソニック賞」を受賞。『レコード芸術』2012年2月号にて再び特選盤に選ばれる。 1999年第5回エネルギア音楽賞(中国電力協賛)を、2001年山口県芸術文化振興奨励賞を、さらに2019年山口県文化功労賞を受賞。

1993年から1997年までの4年間にわたり、ピアノ誌『ムジカノーヴァ』に「ファンタジーは限りなく」と題したエッセイを連載。 2001年より2005年まで、国内外の演奏家、教育者を講師に迎えた「秋吉台音楽ゼミナール」の芸術監督を務め、多角的なカリキュラムによる講習会を展開した。また、2008年より朝日カルチャー・センターにて講師を務めるなど、芸術教育活動にも力を注ぐ。 2014年、みすず書房より初となる著書『ロシア・ピアニズムの贈り物』を出版。ロシア・ピアニズムの継承者としてレクチャーコンサートにも精力的に取り組んでおり、深い見識と身体論を交えた独自の音楽論を展開し注目されている。 2014年よりギリシャのイオニア大学で毎年マスターコースを開催。2015年よりドイツ、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州のブラッヒェで行われている夏の講習会で講師を務めている。

2017年よりハクジュホールにて、5回にわたるドイツ音楽とロシア音楽によるリサイタル、『人間ドラマと音楽』シリーズを開始。テーマは第1回『さすらい』、第2回『葛藤』、第3回『変容』、第4回『統一』、第5回『光』である。第一回『さすらい』はNHK-BSプレミアム『クラシック倶楽部』で放映された。

「これほどまでに自己の感動を聴衆に伝えることに専念できるピアニストは日本では稀有な存在」と評され、女流ピアニストとは思えないスケールの壮大さと豊かなドラマ性、そして柔軟かつ繊細な音楽性を兼ね備えた真の実力派ピアニストとして、国際的な賞賛を受けている。

2023年11月16日(土)
防府天満宮 参集殿
原田英代 ファンクラブの集い 2024(防府)
リスト、グリーグ、マーラー
2023年11月24日(日)
美竹清花さろん
原田英代 ファンクラブの集い 2024(東京)
リスト、グリーグ、マーラー
F. シューベルト
さすらい人幻想曲 D 760
ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D 960
R. シューマン
幻想曲ハ長調 Op. 17
クライスレリアーナ Op. 16
アラベスク Op. 18