P. チャイコフスキー
四季 Op. 37b
S. ラフマニノフ
コレルリの主題による変奏曲 Op. 42
audite 92.569 SACD
2008年10月29日リリース
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批評
キングインターナショナル

圧倒的なスケールと存在感を持つ日本人女流ピアニスト、原田英代。昨年発売されたグリーグ:「抒情小曲集」(AU 92555)は、日本はもちろん海外を中心に大絶賛されました。今年5月に録音されたこのアルバムは、彼女の得意とするラフマニノフ、チャイコフスキーの作品。力強さと豊かな表現が魅力の彼女の演奏にピタリとはまった1枚です。

批評
レコード芸術

馥郁たる抒情に満ちたディスクの登場だ。原田英代は内外の立派な学歴やコンクール歴もさることながら、私はモスクワ音楽院のメルジャノフ教授の愛弟子として認識していた。その研究の成果をチャイコフスキーとラフマニノフで遺憾なく発揮してみせている。 まず、「四季」だ。ロシア的な抒情を完全に手中にしているだけではなく、類まれなる音楽の情景描写である。<炉ばたにて>や<白夜>や<秋の歌>を聴いてみて欲しい。温もり、淡き光、切々たる哀愁…。闊達な<取り入れ>や<狩り>の輝かしさ。<トロイカ>も凛とした冷たい空気と人々の心の温かさが感じられる。ラフマニノフは、ノーブルな主題から、筋の通った深い楽譜の読みで各変奏に対峙している。変奏の連続性と同時に、楽章にも似たまとまりも十分意識した構成。一つ一つの音の吟味もロシア風に深い。ベルリンの教会での録音も魅力の聴き応え。邦人による素晴らしいディスクに惜しみない拍手を!
【下田幸二】(2009年 3月号)